エンジニアの残業の多さが大きな問題として取り上げられてきた影響があり、残業をいかにして減らすかを考える企業が増加しています。形式として最も典型的なのが、残業ゼロを目指すという方針を打ち立て、実質的には残業を禁止する形になっている現場も増えているのが現状です。残業をするには面倒な書類手続きをしなければならず、なかなか受理もしてもらえない形を整えることで抑止力を働かせている場合もあります。
このようにして残業が減ったりなくなったりすると過重労働による苦労はなくなりますが、現場では新たな苦労も生まれてきているのが事実です。残業が減ると当然ながら実労働時間が減るので生産性は低下してしまいます。しかし、それでも雇用側からの仕事への要求が低くなるわけではありません。
むしろ競争が激しくなっている業界なので、実労働時間を減らしながらもさらに要求は高まっていく傾向があります。開発の納期が延びるわけでもないでしょう。そのため、一時代前に比べると短い労働時間で同じかそれ以上のクオリティーのものを作り上げなければならなくなっているのです。
企業によってはエンジニアを増員して対応している場合もありますが、現実的には人材も不足している現場が大半を占めています。そのため、エンジニアには手際の良さが重要な要素となっているのです。現場はじっくりと時間をかけて仕事をしていても良かった状況から、効率性を重視する状況に大きく切り替わっています。